たとえ愛なんてなかったとしても

「俺は最初からお前を指名したけど」



いつもの淡々とした声で、顔色も変えずにまさかの発言をするエリックさんをただ見つめる。

エリックさんが、わざわざ私を指名をするなんて......。



「他の女を指名すると面倒だから」



諦めようと努力している最中なのにまさかの指名に気持ちが高揚しかけたけど、その後に付け加えられた一言で、一気に落とされる。


そうですよね。
エリックさんお好みの女の子がいなかったのかもしれないし。

他の女の子ならある程度気をつかわなきゃいけないだろうけど、私だったらどう扱ってもいいから気楽なんだろう。

 

「......そうですか。
そのハンディカメラで撮影するんですか?」



いちいち動揺したらダメ。
私には彼氏もいて、エリックさんはメンバーで......これはただの仕事で、それだけ。

私もエリックさんと同じように、極力感情をなくした声で、仕事に徹しようとした。