「俊輔さん?どうしたの?」



ミヒに声をかけられて、自分の世界に入っていたことに気づく。


彼女がいるのに、他の女のことばかり考えてなんて失礼なやつなんだ、俺は。

しかも本人の前で。



「ごめん、なんでもない......。
ミヒはさ、エリックさんと二人で大丈夫?
まだ忘れてないよな」


「二人きりじゃなくて、他の人もいるよ。

それより、大丈夫?なんて彼氏の言うことじゃないでしょ。
私たち今までと変わらないね。
やっぱり私のこと彼女だと思えないんだ」



嫉妬するならまだしも、大丈夫?なんておかしかったな。

始まりはどうあれ、仮にも付き合ってるんだから、多少は嫉妬したっておかしくないのに。


それになにより、俺たちは二人だけの時間も場所もあって、お互いに自活している立派な社会人にも関わらず。

今だにキス以上のことはしてない。


ミヒに魅力がないとかじゃないんだ......。
俺も男だし、欲もある。そんな気分になる時もある。


まだお互いに他の相手に未練を残していることもあって、なんとなくブレーキがかかるんだ。