たとえ愛なんてなかったとしても

「明日から、私いないから。
まとめて作ったから、解凍して食べてね」



付き合ってから、いつのまにか敬語じゃなくなったミヒの声で振り向く。

台所で何やら作業していたのが終わったみたいで、タッパをいくつか冷凍庫に入れていた。

韓国料理も日本料理、いろいろレパートリーがあるみたいだ。


すごいよな......。
そのまえに俺がやらなすぎなのか。



「ありがとう、助かるよ」


「五千円ね」


「高い!だったら、コンビニで買うよ」


「私の作ったものより、コンビニ弁当がいいの!?最低!
あんなの体に悪いんだから!
どんな材料使ってるか分からないし、それに、」


「わかった、わかったよ。
俺は五千円払ってでも、あなたの作ったものが食べたいです。
これでOK?」



照れ隠しでお金要求するって言ってるんだよな、きっと。
というか、そうだと信じたい。


前から感情的な子だと思っていたけど、付き合ってからさらにひどくなった気がする。

冗談通じない時あるし、俺が悪くない時でもなぜか怒られたりする。


付き合い出すとみんなこんなものなのか、それともミヒがちょっとアレなのか。

まともに付き合うのは初めてだから、よく分からない。