たとえ愛なんてなかったとしても

「何も殴ることなかったんじゃないか?
まだ叩かれたところが痛い」


「まだやってんのー?
ホントによく飽きないよねー……」



収録を終えて、楽屋で迎えを待つ間にも俺とキャシーの争いは続いていた。

俊輔に止められたり、英俊に呆れられたりしながら。



「私はプロとして仕事に徹してただけよ」


「叩く振りだけで良かっただろ?
日頃の恨みがこもってたんじゃないか」


「それもある。
日頃の恨み九割、仕事一割?」



どこがプロとして、だ!
ほとんど私怨じゃないか!



「俺だってそれ以上にお前に恨みがあるんだよ!
お前が女じゃなかったら、殴り返してるところだ!」


「まあまあ、それくらいにして......。
今日は時間あるし、これからみんなで食べにいきませんか?」


明日の朝の便の飛行機に乗るまで、今日は特に予定もないし、夜飯に行く時間ぐらいはあるだろう。

久しぶりに本場の中華料理を食べに行くのも悪くない、と俊輔の言葉に賛同した。