ハッピーエンド


「はい、どうぞ」

私はケイにメロンパンを渡した

「ありがとうございます」

ケイはいつものように、
敬語で丁寧にお礼を言った

メロンパンは本当に焼きたてで、
少し熱いくらいだった

私は研究所に向かって歩きながら、
左にメロンパン右にケイの手を持って
のんびりと空を見上げながら歩く


今日の天気は快晴

冬の白い冷めた空は、どこか寂しげだが
どこか心強い感じもする

私は、そんな冬の空が好きた

「ねえイクミ」

私と同じように空を見上げていたケイは
そう言って私の方へと顔を向けた

「なあに」

「今年の夏は、花火を観に行こう」

突然の提案で、私は目を大きくした

「町の花火大会?」

「うん」

「騒がしいところは好きじゃないって
いつも言ってたじゃない」

毎年、私がケイを町の花火大会に誘うと
必ず「人混みの中はうるさいから嫌だ」
と言って行かなかった

私としては、
家から見るのは少し物足りなかった

「土手から観るんだよ」

「土手?」

「いつも一緒に星を観ているところ」

確かに、あの土手は人通りも少ないから
静かに花火が観れるかもしれない

それに、私はあの土手が大好きだ

いつもケイと通っている、あの土手が

「私、メロンパン食べながら観たい」

そう言うとケイは、クスクスと笑った

「あ、また馬鹿にして」

そう言って私は、ケイの手を離して
シュークリームの入っている袋で叩いた

「痛い痛い」と言いながら笑うケイを
私はまた笑った

シュークリームが潰れるのを恐れて、
私は軽くケイを叩いた後中身を確認した

1つは無事で、もう1つは潰れてたけど
それはケイに食べさせればいいと思った

少しの間ケイの手から離れていると
だんだんと寂しくなってきて

私はもう一度、ケイの手を握り返した

ケイも私の手を、強く握った

「メロンパン、美味しかったね」

ケイは、やっと食べ終えた私に言った


私は、「うん」と呟いた