12年前。


ココの4歳記念パーティー。


「おとうさま~っ、このドレスかわいいよね?」


「あぁ、ココには赤が似合うな。」


「ほんとーっ??
じゃあくろは?」


「黒いドレスがよかったのか?」


アランは驚いていた


...この国では当時、黒は縁起の悪い色で身に纏うと不幸が訪れると信じられていた。


その事をココもよくしっていたはずだ。
なのに
そんなことを言い出すなんて...!
と、言いたげだ。


「わたしね、いままでくろはえんぎのわるいいろっていわれてたのしってるよ?
でもそれはまえのおはなしでしょう?
だってこのパーティー、くろいドレスのひとがたくさんいるんですもの。」


一生懸命父に説明したココは満足そうに微笑んだ。


...でもアランはまたしても驚いて幼い愛娘を見つめた。


この会場に...いや、この国に黒いドレスを身にまとうものなど居なかったからだ。


先ほど説明したようにこの国では黒は縁起の悪い色であるから、この愛娘の誕生日パーティーに来てくるはずがなかったのだ。


しかしココは黒いドレスの者がたくさんいると言った。


疑いたくはないが自分の娘が狂っていると思った。


「どうしたのおとうさま?」


「...ココ、お前...」


そこに突然、深緑色のマントの老婆が現れた。


「ロザモンド氏。」


その老婆はアランの言葉を遮り、話しかけた。


「これは...アナ様!」


このアナと言う老婆はこの小さな国の中でも有名な占い師...いや、特殊なひとだった。
魔法使いだと言う者もいる。
本当のことは誰も知らなかったが、この老婆が言うことは本当に当たった。


「...この子がアリスの娘...?」


「そうですわ、おばあさま。」


「...そう。ロザモンド氏、お話が。」


そしてアランは老婆と共に人気のないテラスの方へ行ってしまった。