「本、ありがとう」
「どういたしまして」

 ケネスのことだから、きっと本棚の本がきちんと整理されているに決まっている。笑いそうになったときに玄関の扉をノックする音が響いた。

「どちら様ですか?」

 以前までこう言っていなかった。無防備でいることはとても危険だと二人に忠告されて、ドアの向こうに誰がいるかを確認してから、開けるようになった。

「ケイティよ。それにルースもいます。開けてもらえますか?」

 扉を開けると、学校の友達のケイティ・ゴードンとルース・キャンベルが立っていて、上半身が濡れていた。ジュリアは慌ててタオルを取りに行って二人に渡した。

「邪魔するぜ。それにしてもひどい降りだな」

 二人は傘を持っていなくて、それぞれ武器を持っていた。

「お邪魔します。ルース、何とかなりませんか?この雨」

 さっきよりも雨音が激しくなっていた。

「できないな」
「役立たずですね」

 ルースは眉を歪めて怒りを露にした。

「何だと、こら!」
「冗談です。あら?」

 ケイティがギャレットとケネスに気づいて、その声にルースも同じ方向を見た。