「玩具って……だから俺にそーゆー趣味はありませんって!」


「決定事項だからな。じゃ、またな。
 佐雄」


「なっ………」



誰がアンタと会うもんか!
二度と会いたくないっつーの!


心中で喚きちらす俺を余所に、十六夜さんは廊下の角を曲がって消えてしまった。


マジでなんなんだ…あの人……。


溜め息をついて俺は立ち上がる。
これからどうしようか…

なんて思っていると、俺の大切な友人達の声が聞こえた。



「佐雄っ!」


「は、え……?なん、で。二人共…」


「心配しましたよっ!一人でどこか走っていくから……」


「校内走りまわったんだからな!つーか勝手に一人で暴走すんなよ。俺たちだっていんだろ?」


「………!」



想像していた言葉と真逆で、俺はまた泣きそうになった。

あ、でもさっきのは悲涙。

今のは嬉し涙。



「雨乱、倭草っ……ごめん、ほんとごめん……っ」



うつ向いて涙声を出す俺に、二人は微笑んで俺に優しく囁いた。



「佐雄、私たちはアナタがいないと毎日が窮屈でツマラナいんです。だから、ずっと一緒にいてくださいね?」


「一人で抱え込むなよ、な?俺たちがついてるんだしよー。俺らだってな、やるときゃやるんだぜ?ケケっ、お前一人で突っ走るとか寂しーっつーの」


「佐雄は私たちのために、やってくれたんですよね?」


「ンな佐雄を責めるわきゃねーだろ?
むしろ逆々ー。……佐雄、」



「「ありがとう」」



「………っ! うん…うんっ……俺もっ、お前らと一緒にいたいからっ、それとっ、こんな俺といてくれて、

"ありがとうっ"…」



そしてまた涙を流す俺に、二人は「やれやれ」と言わんばかりに俺を優しく抱きしめてくれた。


すごく、

あったかかった。