「た、助かった…!」

「佐雄のおかげですうぅ……」



二人が口々に感謝を述べるなか、俺は一人、右手を見つめたまま動けなかった。

正確に言うと、

動くことを忘れて、ただ自分の力に疑問を感じていた。


さっきの魔法、実は一度も使ったことがない。それどころか、あんな呪文さえ知らなかったのだ。

それが何故いきなり……。



「佐雄?」

「どうかしたのですか?」


「………。え?あ、いや…なんでもないよ」


「「?」」



二人に呼ばれ、やっと意識を戻した。

あー、もうヤメだやめ!
考えても無駄でしょ。


俺の能力未知は今に始まったことじゃなーい。昔からだからねぇ。


そう思って、俺の出した草葉のクッションにごろりと寝転がる。

う、わー。なにコレ。
すんげぇ寝心地いいんだけど。


そして眠りそうになる俺に気づいた二人は、すぐさま俺に近づき起こそうとする。



「起きてください!今は魔力検定する時間ですよっ、睡眠時間じゃありませんっ」


「んー……眠い。つーか俺的にはさー、こーやって寝てる方が幸せ~。魔力なんて知ったこっちゃなぁーい」


「……駄目人間」



ポンピンです、倭草くん。

俺はこーゆー人間(魔法使い)なのだ~。