ゾワワッと身の毛を震わせている俺とは反対に、目の前の銀髪男は高揚とした眼差しでこちらを見てくる。

あ、なんかコレ、前にもあった気がする。

えーと、なんだったっけなあ…。


うーんと唸り、いつだったかと記憶の糸をたぐり寄せる。

意識をそちらに集中しているせいで左手のキモチワルイ感触からは逃れられてた。

んだけど…。



「んむ、そういえば我の部屋に今面白いモノがいるのだ。純白の天使での。

名を確か、【雨乱】(うらん)と云ったそうな」


「え、……。え?!」



思わず二度見。

い、今なんてっ……。


過剰に反応した俺を面白そうに見据えてくる銀髪男。

んぱっ、と口に含んでいた指を抜いて上唇を妖艶に舐めた。



「ゲームをしようぞ、佐雄」



このゲームで貴様の友人の命が左右されるのだ。どうだ、やってみぬか?


尋ねる銀髪男に、俺はもちろんと声を張り上げた。


逃げる・逃げないとか、そういう選択肢なんてない。


受けてたとうじゃないか。



「ゲームはこうだ。今から貴様を我の力で、ある世界へ送る。そこで貴様が天使を見つけられたら貴様の勝ち。
見つけられなかったら我の勝ちだ」


「…それって時間制限あり?」


「ないに決まっておろうよ。くくっ、思う存分に探せ。

このゲームは、友人だけでなく貴様の命もかかっておるのだからなあ!」


「?! それってどういうっ…」

「つべこべ言わず、さっさと行けい」



銀髪男が右手をくいっと曲げた途端、俺の視界がグニャリと歪んだ。

うぷっ…、この感覚さっきも…。


「さあ、楽しい愉しいゲームの始まりだ。貴様は生きて帰れるかのう!」


視界がすべて、黒に染まる。