爺ちゃんが白鳥の胴に竹刀を貫かせ、十六夜さんが拳で頭を握り潰すという、なんともグロ禁状態。

助けてもらったにも関わらず、ついつい口元を引きつらせてしまったのは致し方ないと思う、うん。



「え、っていうかなんでココに」


「ん、ちょっとな」


「まーだわしらもよく状況が掴めていなくてのぅ。今確かめてるとこなんぞぇ。

……ん?おい、そこに居るのは誰だぇ?」



俺たちとは正反対の廊下の端。

そこに向かって爺ちゃんが声をかけると、慌てたような足音が廊下に響いた。

たぶん、その人は逃げたんだろう。
内心、『やっべ、見つかっちまった!』みたいな。


まあ逃げるなんて芸当、爺ちゃんに目をつけられて出来るワケないんだけどね。



「かっかっか! 鬼ごっこでもする気かえ?―――生憎、今忙しい故。大人しく捕まってくれんかのぅ」


「無駄だろ、【強欲】。そんなこと言ったって逃げ足が止まるワケねえ」


「うるさいのぅ、子童(こわっぱ)が。ま、ええわい。実力行使といこうかの」



そう言った途端、呪文を呟く爺ちゃん。

と、同時に。


「のわっつ?!」と、遠くの廊下からズッコける音がした。うん、あれはモロ顔面いったな、乙。

ってアッレー?なんか爺ちゃん普通に笑ってらっしゃいますけどどんだけ鬼畜やねんコノ野郎。

…って、十六夜さんもクツクツ笑ってないで誰かあの子にご慈悲をー!