鬼と天使と少年と、

怪我が治ったところで俺らは立ち上がり制服についた土をはらう。

全員はらい終わったことを確認して俺らは魔法学校に向かおうとするんだが……。



「倭草、お前何で立ち止まってんだ?
早く行くぞ」

「んー……」

「?」



雨乱の次は倭草か。

表情が雲っているというか…何か考えこんでるみたいだ。



「珍しいな、倭草が考え事なんて」


「おう、なんかさ………って、そりゃどーゆー意味だぁ?佐ぁー雄」


「おっと、口が滑っ……ちょ、胸ぐら掴むなって。ちゃんと聞くからさ、」



そう言うと倭草はポリポリと頬をかきながら、「高等部にさ、」至極言いにくそうに口を開く。



「雨乱は知ってると思うけど、高等部に俺の兄ちゃんがいるんだ」



雨乱と倭草は幼馴染みだからお互いの家族構成なんかも把握済み。

んで、中等部からの付き合いである俺は二人の家族構成はあんま知らない。

家族事情は教えてもらったけどさ。


だから倭草に兄ちゃんがいるなんて初耳もトーゼン。



「へぇ、兄ちゃんがいるのか。……やっぱ倭草の家族だからイケメンなんだろうな」


「………顔のことについては後で佐雄を締め上げるとして、だ。
兄ちゃんにはなるべく顔を会わすな。分かったな?」



前半すげぇ物騒なことを聞いたのは俺の気のせいだろうか。いや、むしろ気のせいであって欲しい。

……って、



「なんで会わせたら駄目なんだ?」



目があったら殺されるー…的な的な?