倭草の止める声すら聞かず、俺は一人で突っ走り……あうち、気づけばどこよここ状態であります。



「わ、倭草ぁー?」



しーん…


で、ですよね~…突っ走っちゃった俺が悪いですよねっ、てへっ。


なんぞと言ったところで倭草が現れるでもなく。結局俺はすぐそこの教室に入ることにした。


<2 ー 星>


星組ってことは通常クラスか。
まあ使われてないらしいから物置にされてるんだと。そう倭草が言ってた。


ぐるりと教室内を見渡せば教材やら何年か前の文化祭の衣装やら……お、これは白鳥の模型か。


よくできてんなあ、と思いつつ。じっと見つめていると不意に白鳥の目がぎょろりと動いた気がした。



「?! なっ……」



慌てて目をごしごし。再度見ると目はもとの方向へ向いていた。


気のせいかなあ……


疑問符を浮かべ白鳥の模型に背をむける。他になんかないかなあ~?っと。


呑気に宝探し気分で教室を見渡していた俺は気づかなかった。


その後ろでまた白鳥がぎょろりと俺を睨んでいたことに。



「おおっ、これはアンティーク人形かな。そういや俺の婆ちゃんこういう類のもん好きだったっけ。うっわお懐かしいぃー」



アンティーク人形を拾い上げぱっぱっとホコリを払ってやる。




夜(?)の学校にアンティーク人形。
動く白鳥に笑う影。


舞台セットはこれでオーケー。


後は君たち、役者だけ。


ねえ、準備(覚悟)はいーい?



「あれ、この人形……」



醜い白鳥が動き出す。
研ぎ澄まされたその羽で



「なんで"首に刻印があるんだろ"?」



あなたの首に
血の刻印を