「ど、どこでソレを……っ」


「ああ、姫が言ってたからな。【ピルノア】やるんだろ?佐雄の女装ばっちしカメラに収めるからな」


「何その無駄な周到力っ?!」



ついツッコんでしまった俺にまたもや
十六夜さんは大爆笑。


っていうか、俺まだ【ピルノア】反対派なんだからね!絶対やらないからね!


そんな俺の隠れた反論も虚しく………。十六夜さんは「楽しみにしてるぞ」と言って頭をポンポンと撫でてくる。


うっ……確かに俺は飛び級生だから十六夜さんより年下なのは確実だけど!



「子供扱いしないでくださいっ」


「子供扱いはしてない。ただ佐雄の頭がそこにあったから撫でてるだけ」



アンタは登山家か!

ムッとして十六夜さんを睨むと、当の本人は気にすることもなく「ははっ」と笑って俺の頭を撫でつづけた。



「佐雄の頭が撫でやすい位置にあるだけだ。それにアンタの頭、撫で心地がいいからな」


「………ありがとう、ゴザイマス?」


「ぶくく…ッ!なんで疑問系なんだよ」


「だって十六夜さん、いっつも微妙な誉め方しかしないじゃないですか。俺だって反応に困ります」



片手で十六夜さんの手を払い除けつつ、そう言うと、十六夜さんは少し名残惜しそうにしながらも撫でようとはしなかった。


変わりに、またあの言葉を残して。



「次はいい返事を期待してるからな、佐雄」


「って言っても、俺が『はい』って言うまで来るつもりなんでしょう?」


「ははっ、ビンゴだ。それが分かってるなら話は早い。

……佐雄、また会いに来るからな」


「………。」



そう、言葉を残して十六夜さんは去っていったのだった…………。