雨乱は重々しく口を開く。



「私達のように飛び級した生徒は過去にも数人かいます。ですが……。飛び級によって高等部へ入った方々は魔物討伐任務を任されるんです」


「「魔物討伐任務?」」


「……って、そーいや雨乱は平和主義者だもんな。戦闘は嫌いってことか」


「んー、でもよぉ。俺と佐雄がいりゃあなんとかなるって。雨乱は俺らのサポートだけでオッケーおっけー」


「ですが…」



倭草が励ますが、それでも曇った表情なままの雨乱に俺はデコピン。


「痛っ…?!」「お、おい佐雄?」
二人の驚いた声を耳にしながら俺は雨乱と視線を合わせる。



「俺と倭草で死んでも魔物を倒す。だから雨乱は全力で俺らを死守してくれよ。……お前が必要だから、な?」


「佐雄……」

「かーっ、相変わらず佐雄は男前だなぁ。これで顔も良けりゃ完璧だっつーのに」


「普通顔でスミマセーン。だけど人間、んにゃ生物全て顔じゃありませんからー!うっわ俺かぁっくいぃー!」


「よっ、佐雄サマー!」



俺と倭草でバカなやり取りをするのを黙って見つめる雨乱。

スベってない。
決してスベったわけじゃないぞ。

その証拠に、ほら。



「っ……あはっ、そうですね。私も頑張ります!」


「おーう、我らが佐雄サマに任しとけーぃっ!」


「いやいやいやっ、倭草。お前も俺と一緒に頑張るんだからな」



俺達と同様、雨乱も顔をほころばせた。

よかったよかった。
雨乱は笑った方が似合うからな。