夢香ちゃんはあたしに見せつけるように、祥と腕を組んだ。

「夢香?」

「あたし、用事あるから先に行くねっ」

夢香ちゃんは人の良さそうな顔をして、祥に告げる。

夢香ちゃんはあたしの横を通り、教室へ戻っていった。

通り過ぎるときに夢香ちゃんは、あたしにしか聞こえない声で『ブス』と吐き捨てて行った。

「麻結?」

「ん?」

「まだ風邪、治ってないんじゃないのか?顔色が悪いぞ」

祥の声が心配そうな声に変わる。

「大丈夫だよ。風邪は治ったから」