「麻結ー、好き」

そう言いながら抱きしめてくる祥。


最近は『好き』って言うだけじゃなくて、抱きしめてくるようにもなった。

端から見れば恋人にしか見えないだろう、これは。

あたしとしては、とても複雑なんだけど。

祥はきっと、あたしのこと本気じゃないもん。


「いや、もうこれは本気としか言いようがないじゃない」

ケータイをいじりながら梨々花は言う。

「でも、祥が好きなのは夢香ちゃんなんじゃ……」

「夢香は幼なじみだったんでしょ?」

まぁ、そうなんだけど。

幼なじみに恋をするって、よくある話だし。