祥があたしに『好き』って言いにくるのが当たり前になってたけど、二人が付き合ったらなくなるんだろうな。

少し寂しさを感じた。

「あ、あたし、やることがあるから先に行くね」

あたしは祥にそう告げ、二人から離れる。

「待って」

祥があたしを引き留めるようにあたしの腕を掴んだ。

「麻結、何かあった?」

「別に」

あたしは素っ気なく返す。

ふと視線を上げると、夢香ちゃんはもういなかった。

いつの間に……。

「麻結、辛そうな顔してる」

祥は優しげな声で言う。

「別に何もないってば」

あたしが祥から離れようとすると、祥に抱きしめられた。

さっきより強く、でもさっきより優しく。