「祥、やっほー」

そう言いながら笑顔で走ってきたのは夢香ちゃんだった。

夢香ちゃんに応えるように祥は夢香ちゃんに手を振った。

「夢香、俺に何か用事?」

「違うよ。祥をたまたま見つけたから来ただけ」

どうやら夢香ちゃんは大好きな祥を見つけて走って来たらしい。


「夢香、髪がくずれてる」

祥はそう言って夢香ちゃんの髪に触れた。

夢香ちゃんは嬉しそうに頬を赤く染めて微笑んだ。

あたしを無視して、完全に二人だけの世界だ。

この二人、両想いなんだからどっちかが告白して付き合えばいいのに。

そう考えたとき、なぜだか胸の辺りにモヤモヤしたものを感じた。