「麻結、好き」

「え?あぁ、はいはい」


慣れてきたとはいえ、好きだった人だから、ふいうちだと戸惑ってしまう。

あれ、そういえば今のは二回目だ。

普段は一回なのに。

「なぁ、麻結」

祥の声が少し低くなる。

祥と別れたときのことを思いだして、なぜか悲しくなった。

「……何?」

「アイツ、お前の何?」

「え?」

祥は不機嫌そうに言う。

だけど、誰のことを指しているのか分からない。

「アイツって?」

「今日、屋上で話してたヤツ」

祥はそう言うと、そっぽを向いた。