――――放課後。

「あ、忘れてた。先生に用事あるから先に帰ってて」


梨々花は思い出したように言うと、玄関から飛び出していった。

「行っちゃった……」


しょうがない、今日は一人で帰るか。

あたしは靴を履き替えると、玄関を出た。


「ま~ゆっ」

ご機嫌な声に呼ばれて、あたしは振り向いた。

あたしを呼んだのは笑顔で走ってくる祥。


「ま~ゆっ」

―――ガバッ

「うわっ」


祥は満面の笑みであたしに飛びついた。

あたしはいきなりのことに驚く。