「ちょっと、梨々花!」

あたしは教室に入ってすぐ梨々花のところに向かった。

もしかしたら、梨々花が祥に何か言ったのかもしれない。

じゃなきゃ、あんな祥は有り得ない。


「麻結?どうしたの、そんなに急いで」

梨々花は机の上に広げていたノートを片付けた。


「梨々花、祥に何か言ったでしょ?」

「何かって?」

「とぼけないで。さっき祥が『挨拶してよ。俺のために』って、あたしに言ったんだよ!?」

梨々花が関係してるんじゃないかとあたしは思ったんだけど……。

梨々花の表情から違うってことが分かった。


「祥がそんなこと言ったの?」

「言った」