「あ、麻結おはよう」

後ろから、そう声を掛けられる。

あたしにとって、学校での一番最初の挨拶は梨々花だ。

あたしはいつもここで笑顔の挨拶をする。

でも、今日は……。


「…………」

「え、ムシかよ」

「…………」

「なぁ、きーてる?」


目の前にいるのは祥だった。

あたしは見なかったことにして、また歩き出す。


「おい、ちょっと待て」

「……何?」

あたしは立ち止まって祥を見る。

「挨拶してよ。俺のために」

はぁ!?

祥、頭大丈夫?

そうききたくなる程おかしな発言。

ここはやっぱり無視しといたほうがよさそう。

あたしは祥に捕まる前に、走って教室に向かった。