「沢村さん、このノート、職員室に運んどいてくれ」


国語の先生にノートを渡された。


ざっと見て三十冊。


三十冊くらいあるノートは意外と重い。


「それ運んでくれたらご褒美をあげよう」


「本当ですか!?」


先生にしては珍しい。


キャンディとかだったりして。


「ご褒美はプリント三十枚でどうだ?」


「三十枚!?」


せめてマイナス三十枚にしてよ。


そんなにできるわけないじゃないかっ。


あたしは心の中でつっこんだ。


「ウソだよ。じゃ、よろしくな」


先生はあたしの頭に手をポンと置いてから、笑いながら歩いていった。