「……の……ない」
「……ですよ」
誰かの話し声であたしは目を覚ました。
先生、戻って来たのかな?
でも、カーテンがひいてあるから姿を確認することが出来ない。
先生ともう一人はケガした生徒かな。
聞こえてくる声は保健室の先生の声と男子の声。
「珍しいわね。あなたがケガするなんて。好きな子のことでも考えていたのかしら?」
先生は手当てをしながら冗談混じりで言う。
「まぁ、そんなとこです」
っ……!
聞こえてきた男子生徒の声は祥のものだった。
好きな人の声だから嫌でも分かってしまう。
嬉しいはずなのに、今は聞くと辛くなる。