波斗君の声がした。

あたしはぎこちない動作で、波斗君の方を見る。

「ち、違うよ?あっちに猫がいたから」

「そう?どこにも猫なんていないけど」

波斗君はキョロキョロと辺りを見渡す。

「じゃあ、犬かな?」

「犬もいないよ?」

「じゃあ、ハムスター?」

「も、いないでしょ」

ダメだ。

絶対バレてる。

あたしはもうごまかせない、とため息をついた。

「ははっ。意外と面白いね、夢香ちゃんって。で、なんでオレを置いて行こうとしたの?」

「だから、モルモットが」

「それもいないでしょ?」

「だよね~」

あたしは思わず苦笑い。