「ははっ。じゃ、オレは先に行くよ。麻結ちゃん、祥に飽きたらいつでも来てね」

波斗君は爽やかにそう言って、先に行ってしまった。

正直、波斗君には申し訳ないと思っている。

でも、それ以上に、祥のことが好きだから。

「祥」

「ん?」

「好き」

あたしが祥に告げた途端、真っ赤に染まる祥の顔。

「なんだよいきなり」

照れたように頭をかく仕草が可愛い。

「祥はあたしにいつも好きって言ってくれたでしょ?だから、あたしもお返しに毎日好きって言おうと思って」

さらに真っ赤になる祥。

あれ、意外と祥って純情?

「じゃ、俺は毎日麻結にキスしようかなぁ」

そうでもなかったらしい。

祥はイタズラっぽく笑った。

そして、あたし達は顔を見合わせて笑った。

繋いだ手の温もりを感じながら。


   ―END―