とりあえず、あたしは祥の姿を探した。


そのときだった。


「お前ら、うるせーぞ」


その声で、いっきに静かになる。


その声の持ち主は祥だった。


祥はあたしの方まで歩いて来て、あたしの腕を掴んだ。


「行くぞ」


その声を合図に祥はあたしの腕を掴んだまま走り出した。


祥が助けてくれた。


あたしは嬉しくて、口許を綻ばせた。