「行ってきまーす」

あたしは元気良く家を出た。

「おい、麻結おせーぞ」

玄関の前で祥は腕を組んで待っていた。

「ごめん、ごめん」

悪びれもなく謝ると、祥はくすっと笑ってあたしの左手を取った。

あたし達の間を一吹きの風が通り過ぎる。

「じゃ、行くか」

あたし達は手を繋いだまま、ゆっくり歩き出す。

「おはよ」

後ろから波斗君が歩いてくる。

「波斗君……」

波斗君はあたしと祥の手を見て察したらしい。

「二人、付き合っちゃったんだ」

「あぁ、お陰様でな」

祥は波斗君に挑発的な言葉を投げかけた。