窓から柔らかい風が入ってくる。

「もう、気にしてねぇよ」

「でも……」

それでもいいつのるあたし。

「あ、やっぱり許さない」

「え?」

「キスしないと許さない」

祥の瞳はあたしを捕らえて離さない。

長い時間、見つめ合っていたような気がする。

「はやく」

祥が低くつぶやく。

あたしは恥ずかしくなって、顔を赤くしながらうつ向く。

そのとき、チュッというリップ音とともに唇に甘い痺れが走った。

反射的に祥を見る。

祥は意地悪そうに笑う。

「次は、麻結からな」

あたしは高鳴る鼓動を聞きながら、顔を祥に近づける。

軽く唇同士が触れたとき、祥が嬉しそうな顔をした気がした。