「波斗君ごめん、用事出来ちゃって……」

教室を出ていこうとするあたしの腕を波斗君が掴んだ。

波斗君の手に力がこもる。

「もしかして、祥……?」

「っ……」

あたしは気まずくなって、目を反らした。

「麻結ちゃん。勝手なお願いかもしれないけど」

波斗君はそこで一旦言葉を止めた。

じ、とあたしを見つめる。

「行かないでほしい」

その言葉があたしの胸を締め付けた。

それでも、あたしは……。

「……ごめん。やっぱり祥のことが好きだから。ちゃんと告白する。あたし、もう逃げたくないから……」