数日後にテストを控えたある日。

「どうしよう。後少しでテストだぁ。自信ないよ~」

「そっか、もうそんな時期か」

波斗君は忘れていたような口ぶりだった。

「波斗君は余裕そうだね」

「そう見える?」

「見える」

あたしがきっぱり言うと、波斗君は「そっか」と言って笑った。

「なんで笑うの?」

「なんでだろ。嬉しいからかなぁ」

何が、とは訊かなかった。

あたしと一緒にいれるからだと、あたしは知っているから。

その証拠に波斗君は、そっとあたしの手を握った。