昨日はあの後、波斗君に家まで送ってもらった。

帰り際に波斗君は、あたしを見つめてこう言った。

「麻結ちゃんが祥のこと好きなのは知ってる。でも、もう麻結ちゃんが傷つくところは見たくないんだ。オレは頼りないかもしれない。だけど、力になりたい」

波斗君の声音から波斗君の決意が伝わってくる。

「だから、オレと付き合ってほしい。祥なんかやめてオレにしなよ」

あたしはうなずく。

こんなにあたしのこと想ってくれてる人がいる。

祥のことをあきらめて波斗君と付き合った方が幸せなんじゃないかと、このときあたしは思った。

だからあたしはうなずいた。

たとえ、それが間違いだったとしても。