何かにすがりたかった。

あたしは波斗君の優しさを利用したんだ。

優しい波斗君といれば、きっと傷つくこともない。

祥のことも忘れることが出来る。

波斗君にも祥にも、ウソをついているあたしの方こそ、本当のウソつきだ……。

「オレさ、まだ麻結ちゃんのこと、好きだから」

あたしはその言葉に笑顔を返した。