どれくらい泣いていただろう。

ふと顔を上げると、隣に波斗君がしゃがんでいた。

いつからいたんだろう。

波斗君は話しかける様子もなく、遠くを見つめていた。

少しの間、静かな時間が流れた後、波斗君は口を開いた。

「やっぱりさ、オレにしなよ」

その言葉に顔を上げる。

波斗君の真っ直ぐで優しげな瞳があたしに向けられている。

その瞳に捕らわれたような気がして動けなくなる。

あたしは祥のことが好き。

それは変わらないはずなのに、あたしはこくりとうなずいてしまった。