確かに実際俺は何も見えちゃいなかった。 見ようとさえしなかった。 だからだろうな。何も言えなかったよ、あいつに。 でも、今思い返せばあいつもあいつで必死にがんばってる顔だった。 一生懸命立ち直ろうとしてた時期だったんだよ… いつも通りケンカして、でも隆裕の言葉が残ってなんか…すげー傷だらけになってた。 家に帰ってもしかたねーしってしばらくぼーっとしてると、 袋が落ちる音がした。 見ると、隆裕が俺を見て立ち尽くしてた。 そんで言われたよ。 「帰ってこい」 ってさ。