CDアルバムを一枚半ほど消化したところで、車は停まった。


着いたのは、山の中にある建物。


「昔、遠足か何かできたことがあったんだ。

記憶はあやふやだったけど、着いてよかった」


圭吾さんは、照れ臭そうに笑う。


車を降り、入り口の看板を見て、この建物の正体が分かった。




「天文台、ですか?」




圭吾さんは、小さくうなずいた。


自動ドアをくぐると、もう少しで始まる夏休みに向けて、催される予定のイベントの告知ポスターが掲示板にいくつも貼られている。


その横の館内地図に、私はある施設を見つけた。




「プラネタリウム……!」




それは、お昼でも星が見られる場所。




「本物じゃないけど、いいかな」


「すごく、嬉しいです!」


わくわくを抑えきれない私は、たぶん今までで一番の笑顔だったと思う。


つられて圭吾さんも笑顔になってくれるから、もっともっと嬉しくなった。