気力を振りしぼって、駅前へとやってきた。 帰宅ラッシュ前で、まだ混雑はしていない。 でも敏感になっている私は、時折すれ違うだけの人にも恐怖を感じてしまう。 綾乃は、どこにいるんだろう。 売店、タクシー乗り場、旅行パンフレットの棚の前…… 見慣れた姿を探して歩いていると。 「あの……」 背後からの声に、体が縮み上がった。 振り返らなくても分かる。 忘れられない、声。 どうして、ここにいるの? ゆっくりと振り向くと、そこには圭吾さんがいた。