光を感じて目を開けると、カーテンの隙間から陽が射していた。


重たいまぶたを持ち上げながら、窓を開ける。


かさついた頬を凍った空気に殴られ、脳の奥から覚醒させられた気分。


冴え渡ったこの目には、白む東の空と、夜の名残を今にも手放そうとしている西の空のコントラストが映った。


いつのまにか雨は止んでいたらしい。


澄み切った早朝の風景は、心のよどみを洗い流していく。


行く手を阻んでいた濃い霧が、一気に開けたみたいだ。




あんな強引なさよならをしたことを、どこかでずっと後悔していた。


嫌われても仕方ないと、そのほうがいいと思っていたけれど、一度は通い合ったはずの気持ちが一方通行になってしまうのは、身勝手だけど、悲しかった。


でも、圭吾さんの気持ちに触れることができた。


自分で自分を鎖につなぎ、もがいては絡まってを繰り返していたけれど、圭吾さんの歌はそれをほどいてくれた。




切なくたって、泣いたって、かまわない。


好き、という気持ちを否定することはない。


ずっと、ずっと、好きでい続ければいい。




変わらずにまっすぐなままの彼の歌声は、そう教えてくれた気がする。




そして、あのかけがえのない宝物の声を、私は守ることができた。


それが何より誇らしい。




目覚めていく世界を、私はすがすがしく眺める。


すべてを受け入れたら、この目に映る何もかもが美しく見えた。