街屋探偵事務所

得体の知れない古びた名刺などいつもの俺ならば、すぐさま捨て去っていただろう。

しかしなぜかそれをしなかった。それどころか、のこのこと言われた通りにこんな場所へ来てしまったのだ。


まさか、こんなものに頼るようになってしまうとは。


目の前の扉はところどころグレーのペンキがはがれ落ち、赤茶色が見えてしまっていた。しかし、確かに街原探偵事務所という看板がかかっている。

や、やっぱり怪しいよな。

定休日でもない昼間だというのに、シャッターが降りきった店ばかりの旧駅ビルの中で‥‥‥。

ここも、もうやってないんじゃ。名刺だってこんなに古くなってるし。やってたとしても怪し過ぎないか。


「オレ、どうかしてんなあ。帰ろ」

「なんだよ、客人。帰るつもりか」

「うわあっ!」