怪しげな雰囲気を出すわけでもなく、静かに路地裏に占いの店を構えていたその老婆は、俺が前を通り過ぎようとすると、色褪せた一枚の名刺を差し出してきた。
"街屋探偵事務所"
「おまえさん。小さい頃からある悩みを抱えて困っておるのだろう。その場所を訪ねるとよい」
「え、いやオレ何も頼んでないし、金ないですよ?」
「安心しなさい。お代はいらんから」
"訪ねるも訪ねないもおまえさんが決めることだ"
そう言う老婆の言葉には、なぜか妙な説得力があった。
しかし、それきり古びた水晶玉に視線を落とした彼女はもう目を合わせてはくれなかった。
"街屋探偵事務所"
「おまえさん。小さい頃からある悩みを抱えて困っておるのだろう。その場所を訪ねるとよい」
「え、いやオレ何も頼んでないし、金ないですよ?」
「安心しなさい。お代はいらんから」
"訪ねるも訪ねないもおまえさんが決めることだ"
そう言う老婆の言葉には、なぜか妙な説得力があった。
しかし、それきり古びた水晶玉に視線を落とした彼女はもう目を合わせてはくれなかった。
