俺が黙っていると気まずそうに相川は話し始めた。




「あのね、私最近、部活で学校から帰るのが遅くなるんだ。途中までは才華ちゃんがいるから大丈夫だんだけど・・別れて一人になった途端、街灯とかもなくなって真っ暗になるんだぁ。よく通る公園には時々不良みたいな人たちもいて、怖くて・・。それで、今日は、もう少ししたらお母さんが学校まで迎えにきてくれるっていうから、それまで。いいかな・・?」




困ったように眉毛を下げて、相川は俺の表情をうかがっていた。



少しでも期待してた俺・・・大バカじゃん。


自分のことしか考えていなかった自分を恥ずかしく思う。





それと同時に不安や心配で胸がいっぱいになった。




「お前それ大丈夫なのか・・・?不良たちになにもされてない?」



「うん、今のところは。時々、不良っぽい人たちがこっちを見てる気がするだけ・・。でも私が怖がりなだけかもしれないね。先生を困らせちゃった・・ごめんね」




そう言って謝る相川の手を、俺はそっと握った。







ごめん、これだけは許して。



抱きしめられない代わりに、せめてこれだけ・・・。