「そうねぇ、二人で住んでた時はメゾネットは快適だと思ってたけど、一人だとちょっと持て余してるかな……」
徐々に語尾を弱めた彼女が、軽く握った右手を顎に添えて考えこむ仕草をする。
そしてその数秒後、突然顔を上げて言った。
「ねぇハル、引っ越しはゴールデンウィーク明けって言ってたけど来月中に済ませちゃおっか?」
綺麗な顔立ちをくしゃりと崩す無邪気な笑顔、このギャップに僕は時々やられる。
いつも、どうしてこれほどにドキドキさせてくれるんだろうって……。それと同時に、さっきの言葉に胸を弾ませたんだ。
だって、一緒に暮らすことを待ち望んでいるのは自分だけじゃなくて、サクラさんも同じだって事が嬉しくて。
それに話しながら顔をのぞきこんでくる彼女は、スッピンだから会社で見るよりあどけなくて、そこがまた可愛いくて。
それに、いや、だから……。
強く、強く愛しいと想うあまり、そこから生まれた欲望と言う名の感情を抑えきれなくなって、僕は――
「それと上の二部屋なんだけど、前に話してた通り一部屋づつ分けようか、それともひとつは寝室で……え、ハルッ、ちょっと何!?」
サクラさんが慌てた声を発したのは、僕が彼女を抱きあげたからだ。



