あふれるほどの愛を君に



 その日の夜、僕は仕事帰りにサクラさんのマンションにいた。


「悪阻(つわり)も全然ないから何でも食べられて楽ですぅーってリンちゃんは言ってたけど、鈴木さんは食にもジェネレーションギャップを感じて苦労してるってわけねぇ」


着替えを済ませメイクを落とし終えたサクラさんが、リビングのソファで寛いでいた僕の隣に腰を沈めた。

話題は、鈴木さん夫妻のこと。


「俺は23歳と35歳って、そんなに言うほど大した差じゃないと思うけど………それに二人ってとってもお似合いで、なんだかんだ言って鈴木さんメチャクチャ幸せそうだから」


何気なく吐きだした言葉に、隣のサクラさんがクスっと小さく声を漏らした。


「…なに?」

「だって、一回りの年の差を大したことないなんてハルらしいなぁって思って」


そう言ったサクラさんの唇から、また笑みがこぼれた。