あふれるほどの愛を君に


「おい!」


パンッとテーブルを叩かれて我に返った。


「ほら、食うぞ」


見れば、置かれたばかりの料理が湯気を立てていた。


「あっ、はい。いただきます」

「そうだ阿久津、来月の人事異動の話聞いたか?」


木製の箸立てに手を伸ばしながら鈴木さんが訊いてきた。


「庶務の安田係長の昇進と、それからうちの課の渡辺さんが営業二課に行くとか」

「その渡辺の後釜でエラくデキる奴ってのが入ってくるらしいんだけど、変なんだよなー」


鈴木さんは右手に茶碗を持ったまま、少し難しい顔をした。


「変、ですか?」

「うん。そいつな、物流から異動してくるっていうんだ」