マンションまで送ったのは、一人で帰すのが心配なほど彼女が酔っていたから。
部屋にあがったのは、強引に腕を引かれ連れ込まれたから。

豪快で強引な彼女は、部屋に入ってすぐにトランプを持ち出してきて。酔いと睡魔に完全にノックアウトされるまで大富豪に付き合わされた。

正直なところ、ノックアウトした前後のことは覚えていない。

ただ、翌朝の状況から事態を把握するしかなかった。


目が覚めた時に僕はサクラさんのベッドにいて、つまりそのまま泊まってしまったらしく……僕より少し早く起きたサクラさんが身につけていたのは、なぜか下着一枚だけ……。

それで、大騒ぎになった。

一緒に飲んだことすら記憶にない彼女は、よりによって僕を“変質者”扱いした。

物を投げ大声を出し、おまけに僕から逃げようとして階段を転がり落ちて失神。

相当驚いたし、「変態、痴漢、強姦野郎」……数々の罵声にショックも受けた。

そんな特異な出来事があった後、僕らは新年度から同じ配属になり、ペアを組んで業務に取り組むことになった。