その後、採用され開発に配属された僕は、二年後の去年の春にやっと彼女との再会を果たした。

あの日起こったことは、一生忘れられないほど印象深く衝撃的な出来事で……――それは異動の半月前、三月中旬のことだった。


ひま潰しにふらりと出かけた買い物の帰り、突然降りだした雨から逃れるためサトシが働く居酒屋で少しだけ飲もうと思った。

そしたらそこにサクラさんがいて、こっちはすぐにわかったんだけど向こうは覚えていないみたいで。それにとにかく彼女はひどく酔っていた。

僕のテーブル傍のカウンターに座ってた彼女は、偶然目が合った数秒後には何の躊躇いもなく席を移動してきて、当たり前のようにそこで飲み始めた。

面食らってる僕に構うことなく、大声で笑ったり愚痴を溢したり……二年前と見た目はほとんど変わってないのに、っていうかむしろいっそう綺麗になってたけど、笑い方や飲み方が豪快でイメージが全然違う。

でも嫌な気はしなくて、完全に絡まれてるなってわかってもなんか楽しかった。

冗談と愚痴と入り交じった滅茶苦茶な話題に相槌を打ちながら、一緒に店を出た時すっかり雨は止んでいて。

アスファルトにできた水たまりに靴をつけ子供みたいに遊ぶ彼女と、声をあげて笑った。