あふれるほどの愛を君に


飲んで笑って、ひとしきり話して、また笑って………。

肩の力を抜いて楽にしていられた。虚勢を張ることもなく自分らしくいられた。

途中、ジョッキや料理を運ぶサトシに茶々を入れられながら、僕らは終始笑っていた。


やがて勘定を済ませ店を出ると、生暖かい風が全身を包んだ。

軽く伸びをした姿勢のまま空を見上げると、今夜は星がとても綺麗で。視線を感じ隣を見ると、笑顔を向けてる星野と目が合った。

まだ名残惜しい気もしたけれど明日も早い。星野を送るため、ほろ酔い気分で駅へと歩きだす。

ずっと話の尽きなかった僕らだけど、さっきより今は静かになってる。でも、別に話題が無いわけでも気まずいわけでもない。

時々ぽつりとどちらかが言葉を発しクスクスと笑い合う。そんな空気も悪くはなかった。

今に限っては時間がゆったりと流れてるような、そんな雰囲気が心地よく、とても穏やかな気分だった。


並んでアーケードを抜け、賑やかな通りを過ぎ、歩道橋の階段を昇る。