あふれるほどの愛を君に

*・*


 その数日後の日曜日。

サトシが働く居酒屋で僕は、星野と会っていた。

昨日、前に頼んでいた通信教育の資料を渡したいと連絡をもらったからだ。


「あとこれはスクーリングのことも載ってるし、それから良かったらこれもあげる」

「ほんとサンキュ」

「ううん、いいよーこのくらい。あっそうそう、4組だった阿部君わかる? この前、翔子から久しぶりに連絡あって聞いたんだけどー」


ニコニコと笑う星野と向かい合い話すのは、楽しかった。

仕事中は、猛スピードで過ぎていくように思う時間も違って感じる。

他愛もない会話が、疲れた体や心を楽にしてくれる気さえした。


「この前あいつに会ったよ、杉野」

「杉野君って2年の時に転校した?」

「うん、取引先でバッタリ。アイハラ製薬の営業だって」

「へぇー。あたしもつい最近、横尾先生に会ったよ……っていうかお店にお客さんで来た」

「マジで?」


同級生達の近況、驚くような話、あきれること、バカ話。
高校時代のこと、懐かしい出来事………淡くせつない感情――


互いにリンクし合えるのは、同じ時に同じ場所で作った思い出があるから。

多感なあの頃を共に走った仲間だから。


楽しかった。

楽だな、とも思えた。星野と二人でいることが。