絶句した。
もっと正確に言うなら僕は、得体の知れない “物体” を前に絶句し動けずにいた。
──なんなんだ、これ?
隣にいる鈴木さんは、筒井教授に今日ここに来た理由やそのいきさつを熱心に説明しており。その前で教授は陽気な表情で時折、短い相槌をうっている。
そして、僕はやっぱり──
「さぁ、お若いの遠慮はいらん。召し上がっておくれ」
「え。いや、あの……」
これを食べろって? 遠慮するなって?
別にそんなわけじゃない。遠慮なんてしていない。
ただ僕は、驚きと沸き起こる恐怖心を胸に絶句しているだけだ。
隣の様子をちらっと伺えば鈴木さんは、この非常な僕の動揺具合にはまったく気づかず。
いや、無関心……いやいや、そうじゃない。知らないふりをしてるだけだ。
もっと言うなら、巻き込まれないようにしてるだけ。
だって、教授がもてなしに出してくれたのは──



